INEDITっていうスペインのビールがあるけど、あれって何がすごいの?
このページを訪れた人は、KALDIやお酒の品ぞろえが充実しているスーパーマーケットなどで、”INEDIT“(イネディット)というビールを見たことがあると思います。
イネディットが売り場にあると、必ずと言っていいほど
「スペインの三ツ星レストラン監修」「シャンパンの代わりになるビール!」
などとお店独自のポップがあり、このビールについて結構詳しく解説されています。
他にも良いビールはたくさんあるのに、このビールは何が特別なのでしょうか?
そしてなぜ日本でも人気になったのでしょうか?
そんなことを先日思ったわけです。INEDITを飲みながらエル・クラシコを見て。
いろいろ考えてみた私の推測ですが、大きく2つ理由があるのではないかと思いました。
今回の記事ではこのINEDITというビールを色々な角度から見ていこうと思います。
イネディットを知らない人はもちろん、もう飲んだことあるよという方もぜひ読んでみてください。
※これを書いている人は下戸で、ビールもあまり飲めません。でもINEDITは好きです。
INEDITを構成する3大要素
そもそもイネディットがどのように創られたのか、経緯と背景を振り返っていきます。
「もう知っている。」という方はこの部分は読み飛ばして、次の見出しに進んでも大丈夫です。
INEDITは大きく3つの要素でできています。
- Damm
- El Bulli
- Ferran Adrià
…なにこれ???
と思う方もいると思うので、説明を加えていきます。
イネディットは、スペインのバルセロナにあるビールメーカー、Dammという会社が販売しています。
↓↓以前紹介したDamm社のVoll-Damm DOBLE MALTAというビールについてはこちら。↓↓
イネディットが生まれたのは2008年。
Damm社のブラウマイスター、レストランEl Bulli(エル・ブジ)のソムリエチーム、 El BulliのシェフFerran Adrià(フェラン・アドリア)によって創り出されたビールです。
ブルーマスターとは、ブルワーのトップ。ブルーマスターは単にビールを造るだけではなく、ビールのレシピそのものを組み立てたり、改良したり、ブルワリーのビールの味を決定する要となる人。ビール製造の責任者であると同時に、ビールの味の責任者でもある。
https://www.sanktgallenbrewery.com/beerword/hu/
簡単にまとめるとINEDITは、
El Bulliという世界最強レストランのソムリエチームと最強料理長が監修し、バルセロナを代表するビールメーカーであるDamm社が作った高級ビール。
となるわけです。
これだけで既にすごいビールなのが何となく分かるかと思います。
このビールができたきっかけは、
「セレブを迎えるワインはあるが、ビールがない。」
という気づきから。
ご存じスペインはワインが有名。高級なワインは数あれど、高級なビールというものがなかったのです。
そもそも、セレブ用の高級なビールがないという着眼点にはなかなかたどり着かないですし、創作料理に秀でたレストランの発想だなと感じます。
“inedit”はスペイン語の単語です。
意味は「前例のない」「空前の」「かつてない」「類を見ない」「未発表の」「未刊の」という意味です。
英語に置き換えると、”unprecedented”, “unpublished”が当てはまります。
意味合いから考えると、おそらくunprecedentedの方が近いでしょう。
INEDITはエル・ブジのクリエイティブな料理にも負けない、かつ調和する味わいを目指して作られています。
前例のない、という名が体を表す、唯一無二のビールができました。
INEDITはなぜ日本で有名に?
これを1つずつ見ていこうと思います。
お手頃価格で手に取りやすい。
世界一の三ツ星レストランが作ったビールなんて、さぞかしお高いのでは?
と誰もが最初は思うはず。
しかし実際は、330mlで約450円と、意外と手に入りやすい価格です。
確かに日本で一般的なビールは200円ほどなので、それと比べたら高いです。
しかし、開発までのプロセス、原材料、世界一の三ツ星レストランと世界一のシェフ、ブランディング…
これらの要素を考慮すると、450円は安すぎませんか?
セレブもこのビールでもてなされるんだなぁ…というプレミア感を考えたら、とても安く見えてくるはずです。
日本とスペインのお酒事情は似ている?
突然ですが、みなさんは「スペインのビール」といえば何を思い浮かべますか?
スペインにお住まいの方やスペイン人でしたら、
“MAHOU Cinco Estrellas”, “Estella Galicia”, “Estrella Damm”, “Estrella de Levante”, “Cruzcampo”などが出てくると思います。
スペインは地方によって人気のビールが違うので、住んでいる場所や生まれ故郷で大きく答えが分かれるはずです。
では、日本で人気・有名なビールといえば何でしょうか。
「キリン・一番搾り」、「アサヒ・スーパードライ」、「サントリー・プレミアムモルツ」、「サッポロ・黒ラベル」、「サッポロ・ヱビスビール」…
日本ではビール人気にそこまで地域性はない(北海道はサッポロ、沖縄はオリオンが人気なのは明らかですが)ので、概ねこんな感じの答えが出るかと思います。
さて、スペインと日本でそれぞれ人気の上記のビールには共通点があります。
それは、上記で上げたビールが全てラガータイプということです。
日本もスペインもビールといったら問答無用でラガー。
近年日本ではクラフトビールの普及でエールタイプのビールも一般的に知られるようになりましたが、まだまだそれは「少し変わったタイプのビール」という位置づけです。
もちろんスペインにもエールタイプのビールはありますが、やはりラガータイプが絶対的な人気なことに変わりはありません。
そして、先ほども出てきたこの言葉
「セレブを迎えるワインはあるが、ビールがない。」
実はこれって日本にも当てはまるのです。
「セレブを迎える日本酒はあるが、ビールがない。」
日本には酒(日本酒)、スペインにはワインという、絶対的主力が存在している点が似通っています。
このようなデータもあります。
日本でレストランで飲みたいビール No.1に選ばれるくらい、INEDITの高級感は浸透してきています。
まとめると、
- スペインも日本もラガービールが主力の国なので、エールビールが新鮮に映る。
- ワイン、日本酒という国を代表するお酒があり、ビール分野で超高級なものが存在しなかった。
という点で、スペインと日本の事情がとても似ているのではないかと個人的に思うのです。
ちなみに、日本からINEDITのウェブサイトにアクセスすると、自動的に日本語に変換されます。
日本をマーケットとして非常に意識している証拠だと思います。
ちなみにスペイン語のページはこちらです。
あとは、KALDIや成城石井という人気の輸入食品店で売られているという点も大きいと思います。
この2店で取り扱いがあれば、買ってみようという気になりますよね。
実際私もINEDITはKALDIで見つけたのが初めてで、そこで買いました。
INEDITの味
正式名:INEDIT
読み方:イネディット
アルコール分:4.8%
原材料:大麦麦芽、ホップ、小麦、コリアンダー、オレンジピール、リコリス、酵母/酸化防止剤(V.C)
スタイル:Malta de cebada y trigo / 大麦麦芽(モルト)& 小麦(ホワイト)
ビールのスタイルで表すと、 Malta de cebada y trigoとウェブサイトには表記されていますが、説明を見るとWitbier(白ビール/小麦ビール)もしくはベルジャンホワイトがより近く分かりやすいと思います。
「リコリス」は聞きなれないと思いますが(私も知りませんでした。)、甘草の一種でスペインカンゾウとも呼ばれているみたいです。
変な表現ですが、このビールは味がします。
いわゆる「のど越し」を楽しむものではありません。
飲んで、味わうビールです。
小麦の爽やかかつ濃厚な味わいに、コリアンダーやオレンジピールのハッとする香り。
苦みが強くないので、香りとともに後味もスッキリしており、複雑な味わいの妙を楽しめます。
INEDITは本来食事に合わせるビールです。
前菜、サラダ、シーフード、酸味、苦み、塩味、辛味…など、わりと幅広い料理に合うように作られています。
しかし、ビール単体として完成度が高く、食事と合わせなくても1つの飲み物として楽しめると思います。
※悪酔いを避けるために必ず何かを食べながらビールを飲みましょう。酔いやすい人は特に。
色は淡い琥珀色です。
INEDITは本当に前例のないビールなのか?
そんなINEDITに私はとある疑問を持ちました。
これってそんなに「前例のない」ビールなのか???
先ほども書きましたが、イネディットはめちゃくちゃ美味いです。
しかし、ホワイトエール、ベルジャンホワイトを飲んだことがある人からしたら、イネディットから「前例のない」要素はそんなに感じられないかと思います。
「似た感じのビールを飲んだことがある気がする。」
と思うかもしれません。
確かにコリアンダーやオレンジピールを使ったビールは他にもあります。
ところが、ラガータイプのビールばかり飲んできた人にとっては、話は別です。
小麦の味わい、コリアンダーやオレンジピールの香りなどには大きな新鮮味があるでしょう。
そのような人々に「前例のない感覚」を提供してくれるのは間違いありません。
ビール=ラガー
味わいもそうなのですが、INEDITという存在そのものが、ビールの先入観をひっくり返すきっかけの一つという部分が大きいと思います。
それに加えて、INEDITが創られた2008年当時はまだクラフトビールがあまり知られておらず、当時としてはまさに「前例のない」ものだったのかもしれません。※このあたりは詳しくはわかりません。
INEDITはどこで買う?
INEDITはお店、オンラインショップ、どちらでも購入できます。
お酒を豊富に取り扱っているスーパーマーケットや、KALDI、成城石井など輸入食品を豊富に取り扱っているお店でも販売されています。
※KALDIのオンラインストアでは2021年12月現在、INEDITの取り扱いを休止しています。
また、”INEDIT”では検索に反映されず、「イネディット」出てきます。
Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングはこちらからどうぞ。
容量は330mlと750mlがあるので、間違わないようにしてくださいね。
最後に
INEDITのインスタグラムでは、豚骨ラーメンのレシピを紹介しています。
豚骨ラーメン×INEDIT
この組み合わせは日本人には思い浮かびませんが、果たしてどのようなケミカルが生まれるのでしょうか。
お読みいただきありがとうございました!
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